更新日:2023年4月7日

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取材レポート:能越ケーブルネット株式会社

中山間地域の課題をプラットフォームで解決 地域住人同士の助け合いでウェルビーイングの向上をめざす

記事公開日:2023年3月10日

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プロフィール 
能越ケーブルネット株式会社 南 和彦
https://www.cnh.ne.jp/

人口減少や高齢化の影響で生活利便性の低下が問題視されています。能越ケーブルネット株式会社は、中山間地域の高齢者が抱える暮らしの中の困りごとを解決する策として、ギグワーカーの活用に着目。困りごとを抱える氷見市の高齢者と、生活支援サポーター(ギグワーカー)をつなぐプラットフォームを構築して、実証実験を進めています。

今回は、「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)実証実験プロジェクト」における取り組みの概要や、実証実験で見えてきた課題やその解決策、これからの展望などについて、能越ケーブルネット株式会社の南和彦さんにお話を伺いました。

デジタル技術を活用して、地域の助け合いの輪を広げ高齢者が抱える困りごとを解決したい

noetsu2富山県内のケーブルTV事業は、対象エリアの世帯カバー率100%、加入率は約7割で、氷見市でも加入率約7割になっています。

日ごろから地域の皆さまのご自宅を訪問するなかで、とくに高齢者を中心に日常生活上の困りごとを多く抱えていることに問題意識を持ち、なんとか解決できないものかと頭を悩ませておりました。そんな折、「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)実証実験プロジェクト」を知って、地域の皆さまに貢献できるよい機会ではないかと捉え、ふだんから協業しているTSTテクノさんや、NTTドコモさん、NTTコミュニケーションズさんと共に課題解決策を考えて、応募させていただきました。

富山県では、町内会組織や地域コミュニティなどが、高齢化を踏まえてどんどん弱体化しています。我々は、デジタルの力や新たなビジネススキームを活用して、そのような地域住人同士の助け合いを活性化させるサポートをしたいと常々考えてきました。今回採択されたプロジェクトの実証実験を足がかりとして、ぜひ実現させたいと思っています。

高齢者とギグワーカーをつなぐプラットフォームを構築
困りごとを解決する仕組みを有償モデルで実現

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当社は、氷見市内の2地区約2000世帯を対象に、有償(1時間あたり1200円)で困りごとを解決する実証実験を進めています。生活上の困りごとを抱える高齢者と、地域サービサーやパート、学生、副業可能な社会人、アクティブシニアなどのギグワーカーをマッチングさせ、課題解決をめざすデジタルプラットフォームを構築。ニーズはどれくらいあり、ギグワーカーをどれだけ集められるかについても検証中です。

困りごと支援は、地域包括支援センターや社会福祉協議会、地域ボランティアの皆さんも取り組まれていますが、たとえば社会福祉士やケアマネジャーの活動は、介護保険の範囲内に限られているため、草刈りや除雪、買い物、病院の付き添いといったニーズにはなかなか対応できません。またボランティア活動には、「無償のため人手が集まりにくい」「運営は行政からの補助金に依存せざるを得ない」等の側面があり、継続性に課題が見られます。

こうした背景を踏まえて、既存の社会福祉活動やボランティア活動を補完できるシステムを構築し、かつ有償モデルであれば継続性を維持できるはずだという仮説を立てて、成果を確かめています。

ギグワーカーの目標人数達成!一方でニーズの少なさに課題感
PR方法の工夫と無料キャンペーンで利用者増を図る

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「生活支援サポーター」として募集したギグワーカーには、フリーランスやパート、「地域おこし協力隊」として富山県内で活動されている方など二十数名が登録。目標人数を約30名に設定していたため、ほぼ達成できたという状況です。

解決した困りごとは、照明の電球交換やアナログテレビの運搬、テレビの位置変更、2階にあるベッドを1階に移動、庭のゴミの撤去、室内の掃除機かけやワックスがけなど多岐にわたります。当初想定していた除雪作業については、今冬は雪が少なかったこともあって、実証実験期間中のご依頼はありませんでした。
なお、利用者のご自宅に伺う際は、「見知らぬ人が来るのが心配」といった声にお応えして、当社の者や社会福祉協議会の方が同行するなど、安心してご利用いただけるように配慮しています。

幅広い困りごとに対応できている一方で、思ったよりもニーズが少ないことに課題を感じています。実証実験開始当初は、回覧版を回したり、個別訪問時に「困りごとはありませんか」と尋ねたりしましたが、なかなかご依頼が集まらずに苦労しました。

しかしながら、状況を打開するために始めた新たなPR方法が功を奏して、光が見えてきています。具体的には、高齢者対象の「きときと100歳体操」という体操教室で我々の活動をPR、市内ショッピングセンターやドラッグストア内に、「困りごと相談室」という期間限定ブースを設けて相談を受けるなどの活動により、少しずつご依頼が増えてきました。

施設内の困りごと相談室
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実証期間は残りわずかですが、地域に密着されている民生委員の方や地元企業の方などにも協力をいただきつつ、このようなPRを続けていく予定です。また、高齢者が信頼している方からのプッシュも大切だと感じています。今後は地元の自治会長さんや一般市民の方を含めた幅広い方向からアプローチして、事業の活性化につなげていきたいと考えています。

さらに、ご利用1回目無料のお試しキャンペーンも開始しました。利便性を実感していただくことで、利用者が増えていくのではないかと期待しています。

能越ケーブルネット コミュニティチャンネルCM
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持続可能な枠組みをつくり、助ける人・助けられる人が相互に幸せな世界をめざす

noetsu7地域の人々が自分の得意なことを活かして、地域の困っている人を助けるという活動は、これからますます重要性が高まると予想されます。高齢者が、困ったときに気軽に助けを呼べる仕組みがあれば、生活に安心感が生まれます。また支援する側にとっても、困っている人を幸せにするだけでなく、ご自身の「生きがい」にもなって、より豊かな人生を送れるのではないでしょうか。

ただ、なにもせずにこの世界観を実現することは不可能です。我々はこれからも、両者をつなぐプラットフォームを活用した持続可能な枠組みづくりに注力して、富山県の皆さまにとっての幸せな生活=ウェルビーイングな世界の実現に貢献していきたいと考えています。一朝一夕に実現できることではありませんので、今後も粘り強く取り組んでいきます。

お問い合わせ

所属課室:知事政策局デジタル化推進室デジタル戦略課DX推進担当

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 防災危機管理センター9階

電話番号:076-444-8912

ファックス番号:076-444-3483

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