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更新日:2023年9月8日

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令和5年9月定例会 知事の提案理由説明

 本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、ひとこと申しあげます。

 県内では、去る6月28日と7月12日から13日にかけて、記録的な豪雨となり、人的被害のほか、800件を超す家屋の浸水被害に加え、多くの公共土木施設や農地等において、極めて大きな被害が発生しました。亡くなられた方とそのご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた多くの方々に心からお見舞いを申しあげます。

 県では、今般の豪雨に際し、速やかに災害対策本部を設置し、被害状況の把握や応急対応にあたりました。また、富山市、高岡市、小矢部市、南砺市の4市に災害救助法を適用したうえ、被災者の生活確保のための賃貸型応急住宅の一時提供や、住宅の応急修理、中小企業・農林漁業者への金融支援などの措置を「大雨による被災者への富山県緊急支援パッケージ」としてとりまとめ、被災者支援に取り組んできました。

 被災箇所の復旧に向け、直ちに国に対して激甚災害の早期指定等について要望し、先月10日に岸田総理大臣が来県された際には、県議会とともに、公共土木施設や農地等の早期復旧への支援などについて要望しました。こうした取組みの結果、先月30日に、今般の豪雨災害が激甚災害に指定されたところです。引き続き、市町村と連携して、復旧工事や被災者の生活再建への支援に全力で取り組むとともに、河川、道路などにおける災害未然防止対策を積極的に進めてまいります。

1 当面の諸問題について

 つぎに、当面の諸問題について申しあげます。

(1)本県の経済・雇用情勢等について

 まず、本県経済につきましては、個人消費は持ち直し、雇用情勢は、有効求人倍率が2か月連続で低下し、改善の動きにやや弱さがみられるものの、引き続き1.43倍と高い水準にあるなど、景気は持ち直しています。一方で、物価上昇や金融資本市場の変動のほか、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクに十分注意する必要があります。

 こうしたなか、国においては、ガソリンなど燃料油の新たな価格抑制策を開始されたところであり、県としても、これらの動きを注視しつつ、県民生活や事業活動への影響を考慮し、現場のニーズをふまえながら、スピード感を持って必要な対策に取り組んでまいります。

 本県の成長戦略につきましては、来月、「地方から新しいモデルをつくる。」をテーマに、成長戦略のカンファレンス「しあわせる。富山」を開催します。ビジョンや先進的な活動を県内外に発信するとともに、各分野の専門家等も交えて議論を深め、新たな施策やプロジェクトの創出につなげてまいります。

 こども・子育て施策の推進につきましては、先月8日に「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行ったところであり、今後、社会全体で子育てを支える「子育て環境日本一」の実現に向けた取組みを一層進めるとともに、民間事業者による子育て家庭に配慮したサービスの提供や設備整備等を支援します。また、先週開催された「ワンチームとやま」連携推進本部会議では、令和6年度に向けて、出産・子育て支援ポイント制度の創設や、第3子以降の保育料無償化等について協議を行ったところであり、引き続き、県、市町村で連携して、「こどもまんなか共生社会」の実現に向けて取り組んでまいります。

 女性活躍の推進につきましては、就職期の女性に選ばれる県を目指し、先月、多くの企業経営者のご参加のもと、トップセミナーを開催しました。また、一昨日、今年度の「とやま女性活躍企業」26社を認定するとともに、女性活躍の取組みを共有する企業間交流会を開催したところであり、引き続き、県内企業と連携し、女性が活躍できる職場づくり、働きやすい職場づくりの推進に取り組んでまいります。

 スタートアップ支援につきましては、SCOP TOYAMAにおいて、先月、地域交流イベントを開催し、施設の認知度向上や交流の促進を図ったところであり、引き続き、新たなビジネスの創出や移住の促進に取り組んでまいります。

 中小企業等の振興につきましては、理工系学生等への奨学金返還助成制度を拡充するとともに、高度外国人材等の受入れに関する総合的な支援窓口を今月1日に開設するなど、中小企業の人材確保の取組みを支援します。また、来月には「富山県ものづくり総合見本市」を開催し、本県が誇るものづくりの技術や製品を国内外に発信してまいります。

 農林水産業の振興につきましては、6月に開催した「第18回食育推進全国大会inとやま」では、2日間で23,000人を超える方々に来場いただき、県内外に向けて食育の大切さや本県の食の魅力を大いに発信したところです。今後、本県の食育の取組みを一層充実させ、健康で豊かな食生活を通じた県民のウェルビーイング向上に取り組みます。また、とやま農業未来カレッジの研修内容を充実させ、来年度から定員を増やすとともに、富山大学における農業経済学の寄附講義や県民向けの公開講座などを通じ、本県の農業を担う人材の育成につなげてまいります。

 医薬品産業の振興等につきましては、富山大学薬学部に設置される「地域枠」の学生を対象とした修学資金の貸与制度を創設し、地域医療や医薬品産業、薬事行政を担う薬剤師の確保に取り組みます。また、先週、「第7回富山・バーゼルジョイントシンポジウム」を開催したところであり、医薬品開発の連携に向けて、引き続きスイス・バーゼル地域との交流を深めてまいります。

 北陸新幹線につきましては、金沢・敦賀間の開業日が来年3月16日に決定されました。今後、関西・中京圏との交流の促進に取り組むとともに、一日も早い大阪までの全線開業に向け、沿線自治体や経済界などと連携し、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えもいただきながら、政府等に対し強力に働きかけてまいります。

 地域公共交通の活性化につきましては、先月開催した富山県地域交通戦略会議において、自治体や県民など関係者の役割や責任の分担をお示しし、了承いただいたところであり、持続可能な公共交通の確保に向けた計画の年度内の策定に向け、引き続き議論を進めてまいります。また、城端線・氷見線については、7月に設置した再構築検討会において、利便性・快適性の向上の取組みなど再構築実施計画の策定に取り組んでいるところであり、スピード感をもって、沿線4市や鉄道事業者とともに、検討を進めてまいります。

 富山空港につきましては、昭和38年の供用開始以来、60周年を迎えました。今後とも、より多くの方々に親しまれ、利用される空港として飛躍できるよう、利便性の向上に努めてまいります。

 観光の振興につきましては、黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放・旅行商品化を来年6月30日から開始することとしたところであり、引き続き、ガイドの養成をはじめとした観光客受入れ体制の整備などに取り組んでまいります。

 中山間地域の活性化につきましては、来月開催する「全国過疎問題シンポジウム2023inとやま」において、過疎地域が直面する様々な課題を共有するとともに、本県の優れた取組みを全国に発信するなど、新たな魅力や可能性の発見につなげてまいります。

 高校教育につきましては、令和6年4月の入学生から、県立高校の全ての学科等について通学区域の制限が廃止されることとなりました。引き続き、県立高校教育振興検討会議において、今後の高校の規模や学科・コースのあり方などの基本的な方針について検討を進めてまいります。

 広域連携につきましては、本年1月に石川・静岡両県知事と締結した三霊山連携協定に基づき、先週、本県で「三霊山サミット」を開催しました。首都圏やマラソンイベントでの三霊山PRなどに3県で連携して取り組んでいくことを確認したところであり、引き続き、三霊山を活かした地域振興の取組みを進めてまいります。

 このほか、官民協働事業レビューについては、先月、昨年度より対象事業を増やして、県内3地域で開催し、多くの県民評価者の皆様に事業評価を行っていただきました。今後、各事業のあり方を検討し、来年度予算に適切に反映させてまいります。

(2)新型コロナウイルス感染症対策について

 つぎに、新型コロナウイルス感染症対策について申しあげます。

 新型コロナにつきましては、今後も流行の波が見込まれることから、幅広い医療機関で受診できる医療提供体制の整備、ワクチン接種や相談体制の確保など感染対策に取り組んでまいります。また、感染症の発生・まん延時における関係者の連携協力体制の強化を図るため、7月に行政、医療機関、関係団体からなる富山県感染症対策連携協議会を立ち上げたところであり、今後の新たな感染症の発生に備えることとしています。

2 提出案件について

 つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。

(1)補正予算について

 まず、補正予算について申しあげます。

 補正予算の規模は、

 一般会計209億9,036万円

 特別会計6,760万円

 企業会計1億117万円となっています。

 以下、補正予算の概要について、4つの施策の柱に沿って申しあげます。

 

 1つ目の柱は、「令和5年梅雨前線豪雨等の災害復旧への対応」です。

 今般の豪雨による被災箇所の復旧等につきましては、公共事業・県単独建設事業を大幅に増額し、道路、河川、農地等の一日も早い復旧を図るとともに、河川の護岸改修・浚渫等の災害未然防止対策を進めます。とりわけ、今回の災害については、小規模な農業用施設の被害にも支援が行き届くよう、県単独農業農村整備事業の対象要件を緩和します。また、学校や、スポーツ施設等の復旧を進めるとともに、社会福祉施設の復旧を支援してまいります。

 

 2つ目の柱は、「原油・物価高騰対策」です。

 原油価格や物価の高騰への対応につきましては、昨年度の数次にわたる補正予算に続き、今年度も当初予算や5月補正予算等により、9月末までの期間を対象として、幅広い事業者に対する緊急的な支援を実施してきましたが、現下の状況に鑑み、激変緩和措置として必要な対策を継続してまいります。

 社会福祉施設、医療機関等に対しては、質の高い福祉・医療サービス等の提供、経営の安定化を図るため、光熱費等の一部を支援するとともに、農林水産事業者に対し、価格が高騰している飼料や光熱費等の一部を支援します。

 さらに、中小企業等への支援については、「ビヨンドコロナ応援資金」の新規融資枠を100億円拡充し、原材料およびエネルギー価格の高騰等の影響を受ける中小企業の資金繰りを支援します。

 

 3つ目の柱は、「観光振興、公共交通の維持、女性活躍の推進等」です。

 観光の振興につきましては、今月1日に国の認定を受けた「立山博物館を中核とした文化観光拠点計画」に基づき、立山町や関係団体等と連携し、立山エリアの高付加価値化を図る様々な事業を展開してまいります。また、北陸三県連携での冬の北陸旅を促す共同告知やSNS投稿キャンペーンを通じて観光誘客を図るほか、関西圏情報発信拠点の開設に向けた準備を進めます。

 国際観光・国際交流の推進につきましては、本県と台湾のサイクリングコースの友好協定締結に向けた準備を進めるとともに、台湾で開催される国際サイクリングイベントに出展するなど、自転車を活用した相互交流を促進します。また、日韓両国の観光当局や関係団体による協議会の本県開催にあたり、PRブースの出展、エクスカーションなどを通じて、韓国からの誘客を強化します。さらに、富山県と韓国江原特別自治道との交流30周年を記念し、相互に訪問団を派遣し、さらなる交流の促進を図ってまいります。

 富山空港の利用促進につきましては、富山-台北便の定期便再開に向け、台湾への旅客需要を喚起するためのイベントを開催するとともに、旅客確保に向けた支援を行います。また、国際線の再開を見据え、県民のパスポート取得費の一部を助成するなど、アウトバウンド需要の底上げと富山空港の活性化を図ってまいります。

 公共交通の維持・活性化につきましては、厳しい経営環境にある公共交通の運行の維持・確保や利用回復、人材確保などの取組みに対して、国と協調して支援します。

 伏木富山港の利用促進につきましては、本年5月に就航した内航フィーダー航路を活用し国内向けトライアル輸送を行う事業者を支援することにより、物流のモーダルシフトを促進し、伏木富山港のさらなる競争力強化を図ってまいります。

 女性活躍の推進につきましては、学生自身のキャリアデザインを考えてもらうため、県外大学に進学した1、2年生と県内企業の女性管理職との座談会を開催します。また、公共交通事業者における女性活躍を推進するため、男女別トイレや仮眠室、休憩室等の環境整備に対して支援します。

 子育て支援につきましては、富山駅前に児童相談所、子ども・若者総合相談センターなどの相談機関を集約する拠点「こども総合サポートプラザ(仮称)」の整備に向け、実施設計を進めます。

 富山県武道館につきましては、検討委員会における議論や、県議会をはじめ幅広い県民の皆様のご意見をふまえ、今月4日に基本計画の改定版を策定しました。今後、この計画に基づき、令和9年度中の開館に向けて、基本設計等に取り組んでまいります。

 

 4つ目の柱は、「県民の安全・安心のための基盤整備」です。安全・安心の確保につきましては、砺波地域における新警察署整備に係る用地取得に向け、土地の鑑定、測量などの調査を進めます。また、警察官の安全が脅かされる現場での初動対応を強化するため、状況把握用のドローンを配備します。さらに、性暴力被害ワンストップ支援センターの周知のため、SNSによる効果的な広報を実施します。

 社会資本の整備につきましては、道路や河川、治山などの公共事業を増額するとともに、通学路の交通安全対策など安全・安心な県土づくり、地域の生活基盤の整備等を推進します。

 以上が補正予算の概要となります。

(2)予算以外の議案等について

 つぎに、予算以外の議案について申しあげます。

 条例としましては、新たに制定するものとして、「富山県地域薬剤師確保修学資金貸与条例」を、改正するものとして、「富山県附属機関条例の一部を改正する条例」など3件を提案しています。

 条例以外の議案としましては、動産の取得に関するものなど2件を提案するとともに、令和4年度歳入歳出決算および令和4年度企業会計決算6件につきまして、監査委員の意見を付して提出しています。

 報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分ならびに令和4年度継続費精算報告書などについて報告しています。また、令和4年度決算に基づく健全化判断比率等について監査委員の意見を付して報告するとともに、県の出資等に係る法人の経営状況に関する説明書などを提出しています。

 

 以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。

 なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。

お問い合わせ

所属課室:議会事務局  

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 

電話番号:076-444-3405

ファックス番号:076-444-3471

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