令和5年度富山県原子力防災訓練実施結果等について
1 実施日等
(1)日時
令和5年11月23日(木曜日・祝日) 7時00分~14時00分頃
(2)実施場所
<図上訓練>
県防災危機管理センター、氷見市役所、志賀オフサイトセンター
<実動訓練>
氷見市立海峰小学校、旧灘浦小学校、灘浦小学校、氷見市ふれあいスポーツセンター、柳瀬体育館(砺波市)
(3)参加者等
61機関、約600名(氷見市住民約200名を含む)
※その他、UPZ(志賀原子力発電所からおおむね30km)内全域において屋内退避訓練を実施 (対象者約13,000名)
2 訓練内容
(1)訓練の想定
- 石川県志賀町で震度6強の地震が発生。
- 志賀原発2号機において、原子炉が自動停止するとともに外部電源を喪失。その後、非常用の炉心冷却装置による注水が不能となり、全面緊急事態となる。さらに、事態が進展し、放射性物質が放出され、その影響が発電所周辺に及ぶ。
(2)主な訓練
<図上訓練>
1.災害対策本部等の設置運営訓練(県防災危機管理センター、氷見市役所等)
- 防災危機管理センターにおいて、大型マルチディスプレイや映像情報システム等の機能を活用した災害対策本部運営や本部員会議を開催
2.県現地災害対策本部及び志賀オフサイトセンターの設置運営訓練(志賀オフサイトセンター)
- 国、石川県、関係機関と連携した情報収集、共有、調整
<実動訓練>
3.住民の屋内退避、一時移転訓練(氷見市内)
- Yahoo!防災速報アプリや氷見市公式LINEを活用した住民広報により、屋内退避及び一時移転訓練の実施を呼びかけ
4.一時集合場所参集・安定ヨウ素剤緊急配布訓練(海峰小学校、旧灘浦小学校、灘浦小学校)
- 地域や一時集合場所の特性に応じた住民への安定ヨウ素剤の配布
5.避難退域時検査の実施訓練(氷見市ふれあいスポーツセンター)
- 氷見市ふれあいスポーツセンターにおいて、バスや自家用車の車両検査、住民検査を初めて実施。最大規模の100台を超す自家用車が参加
6.避難所開設・運営訓練(柳瀬体育館)
- 緊急時における住民の避難受入れを円滑に実施するため、避難所への広域避難を実施。併せて、県防災士会による防災講演会を開催
7.緊急時モニタリング訓練(氷見市内等)
- モニタリングポストやモニタリングカーによる空間放射線量率の測定
8.交通誘導・警戒準備訓練(氷見市内)
- 警察車両の先導による避難車両誘導や交通規制、県警や氷見警察署を結んだ映像伝送訓練
9.社会福祉施設における屋内退避・一時移転訓練(氷見市内等)
- 社会福祉施設において入所者の屋内退避を実施。併せて、特別養護老人ホーム氷見苑から特別養護老人ホーム雨晴苑(高岡市)への一時移転訓練を実施
10.被ばく医療措置訓練(富山大学附属病院)
- 避難中に負傷し汚染した可能性のある住民への被ばく医療措置を実施
3 今回の成果等
- 図上訓練では、防災危機管理センターにおいて、1.災害対策本部で把握した情報を映像情報システム等によりリアルタイムに災害対策本部員会議室や関係機関と情報共有し、迅速適切な意思決定につながる訓練や、2.避難退域時検査や志賀オフサイトセンターなど現場の映像を本部に共有するなど、センターの機能を活用するとともに、実際に運用することで課題を確認できた。また、横田副知事を志賀オフサイトセンターに派遣し、県現地災害対策本部を運営するとともに情報収集等に努め、防災危機管理センターと映像を含めた情報共有を行った。
- 一時移転・安定ヨウ素剤緊急配布訓練では、Yahoo!防災速報アプリや氷見市公式LINEを活用した広報の実施、地域や一時集合場所の特性に応じた安定ヨウ素剤の配布方法を確認できた。また、県バス協会との災害時応援協定に基づき、実災害を想定した運転手の安全対策にも配慮した住民輸送訓練を実施できた。
- 避難退域時検査の実施訓練では、唯一訓練を実施していなかった氷見市ふれあいスポーツセンターにおいて、過去最大となる100台超の自家用車が参加し、より実践的な訓練を行うことができた。検査は概ねスムーズに進み、実際の運用や検査方法を確認するとともに、より実災害時に沿った対応への課題を把握できた。
- 避難所開設・運営訓練では、代替の避難所での開設運営が可能であることを確認できた。また、県防災士会の協力により、参加者が多様性に配慮した避難所の運営について学ぶとともに、新たに開発した避難者移動状況確認プログラムにより、住民の避難状況を瞬時に関係機関で共有できた。
- 緊急時モニタリング訓練では、緊急時モニタリングセンターにおいて、原子力規制庁や石川県と連携した実践的な訓練を実施できた。
- 交通誘導・警戒準備訓練では、警察車両の先導による避難者両の誘導、円滑な交通規制ができた。また、富山県警察本部、県災害対策本部(防災危機管理センター)、氷見警察署を結んだ映像伝送ができた。
- 社会福祉施設における屋内退避・一時移転訓練では、入所者の屋内退避の流れや安定ヨウ素剤の受け取り、避難退域時検査、避難先への移動等、一連の流れを確認できた。また、県タクシー協会との災害時応援協定に基づき、配車要請した福祉車両を活用した一時移転訓練や車椅子利用者や自立歩行困難者を対象とした避難退域時検査を実践でき、今後の課題を確認できた。さらに、避難先において、人数確認やバイタルチェックなど避難者を受け入れる体制を確認できた。
- 被ばく医療措置訓練では、受入の準備から診療における注意点について、ハード・ソフト両面から再確認する良い機会になった。
≪評価結果≫
原子力防災に関する最新の知見を有している者による外部評価(第三者評価)を実施しました。評価結果報告書は添付を参照ください。
評価結果報告書(PDF:1,363KB)
≪ビデオ映像≫
今回行った訓練のダイジェスト映像については、以下を参照ください。