令和５年５月臨時会　知事の提案理由説明

　先般執行されました県議会議員選挙後の最初の県議会にあたりまして、提案理由の説明に先立ち、ごあいさつを申しあげます。

　本日ここに、県民の衆望を担われ、めでたくご当選になりました議員各位をお迎えすることは、誠に喜ばしく存じます。

　皆様にあらためて、心からご当選のお祝いを申しあげます。

　このたびの選挙の結果は、新たな発展、飛躍をめざすこれからの富山県の舵取りを、県民が大きな期待をもって、議員各位に託したものであります。もとより、県政の推進に当たり、県議会の役割は極めて重要であり、皆様のさらなるご活躍を期待しています。

　さて、今月8日から新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行し、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつあります。県では、これまでも数次にわたる対策に取り組んできましたが、引き続き、感染対策とともに、経済の回復を力強く後押ししてまいります。

　また、今月12日からは本県でG7教育大臣会合が開催されます。こうした機会を活用し、本県の教育力の高さや多彩な魅力を国内外に発信するとともに、こどもまんなか施策を通して、子どもたちのウェルビーイングの向上に取り組みます。

　県としては、引き続き、成長戦略のビジョンである「幸せ人口1000万　ウェルビーイング先進地域、富山」の実現に向け、富山県のさらなる発展・飛躍に向けた取組みを、県議会、市町村、県民の皆様とともに着実に進めてまいります。

　議員各位の格別のご指導とご協力をお願い申しあげます。

　本日は、議長、副議長の選挙および各委員会委員の選任が行われ、県議会の構成も整ったところであり、この新たな陣容をもって、富山県のかぎりない発展のために一層のご尽力を賜りますようお願い申しあげます。

１　最近の経済情勢等について

　つぎに、最近の経済情勢等について申しあげます。

　本県の経済情勢につきましては、個人消費は緩やかに持ち直し、雇用情勢は、有効求人倍率が3か月連続で低下し、改善の動きにやや弱さがみられるものの、引き続き1.5倍と高い水準にあるなど、景気は緩やかに持ち直しています。一方で、物価上昇や部品等の供給面での制約、金融資本市場の変動のほか、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクに十分注意する必要があります。

　こうしたなか、国においては、去る3月に、エネルギー高騰対策、食料品高騰対策、地域の実情に応じた取組みの支援・低所得者層への支援を3つの柱とする「物価高克服に向けた追加策」をとりまとめ、その実施のため、総額約2.2兆円の予備費の使用を閣議決定しました。

　これを受け、県として、早急に取り組む必要がある事業などを盛り込んだ補正予算案を編成し、本臨時会に提案したところです。県民の暮らしと事業活動を守るため、引き続き、エネルギー価格・物価高騰対策にスピード感をもって取り組んでまいります。

２　提出案件について

　つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。

（１）補正予算について

　まず、補正予算について申しあげます。

　補正予算の規模は、一般会計45億3,739万円となっております。

　以下、補正予算の概要について、施策の柱に沿って申しあげます。

　1つ目の柱は、「物価高克服に向けた生活者支援」です。

　物価高騰に直面する県民への支援につきましては、LPガス消費者の負担を軽減するため、小売事業者に対し、販売価格を抑制するための助成を行います。また、省エネ性能の高い家電製品への買換えを促進するため、品目に応じたポイントを付与するキャンペーンを実施します。さらに、低所得のひとり親世帯を支援するため、生活支援特別給付金を支給するとともに、食材費等が高騰するなかで、県立学校における給食等の質が維持されるよう対応してまいります。

　2つ目の柱は、「物価高克服に向けた事業者支援」です。

　中小企業等への支援につきましては、「ビヨンドコロナ補助金」をさらに拡充し、「パートナーシップ構築宣言」の登録を優先採択の要件に加え、引き続き県内事業者の省エネ、省資源化の取組みを後押しするとともに、特別高圧電力を使用する中小企業の負担軽減を図ります。

　適正な価格転嫁や賃上げの促進につきましては、県内経済団体によるパートナーシップの構築を促す取組みを支援するほか、国の助成金と連動した県独自の奨励金を支給し、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取組みを支援してまいります。

　農林水産事業者への支援につきましては、価格が高騰している肥料や燃料費等の一部を助成し、農業者の負担を軽減します。また、農業水利施設などにおける電気料金の高騰に対し、緊急的に支援するほか、燃油高騰の影響を受ける漁業者を引き続き支援してまいります。

　観光・交通事業者への支援につきましては、公共交通等の運行にかかる燃料費等の負担軽減を図るため、その一部を支援します。また、国の観光再始動事業の採択を受け、「黒部宇奈月キャニオンルート」を活用した立山黒部エリアにおける高付加価値化の取組みを推進してまいります。

　社会福祉施設、保育所、医療機関等への支援につきましては、質の高い福祉・医療サービス等が適切に提供されるよう、経営の安定化を図るため、負担が増加している光熱費等の一部を緊急的に支援します。

　以上が補正予算の概要となります。